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東京大学公共政策大学院 | GraSPP / Graduate School of Public Policy | The university of Tokyo

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実務家として、政策立案者として、文化施設の変革を志す

Hiroaki Nawa (from Japan)

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実務家と政策立案者の両視点で課題解決に臨む

入学記念式典にて

私はコンサルティング会社に勤務しながらGraSPPに通学している社会人学生です。学部卒業後に新卒入社して以来、いつかはまた大学へ戻りたいと考えていました。コンサルティングの実務経験を通じて、学部時代より探求してきた博物館など文化施設のマネジメント(博物館経営論)というテーマに対して、実務家と政策立案者の両方の視点で課題解決に貢献出来る人材になりたいと考えるようになりました。主な課題意識としては、個別の成功事例を作りボトムアップで変革を進めることと同時に、政策レベルからトップダウンで業界全体的な変革を推し進めることの必要性を感じたことが挙げられます。そしてこれを実現するためには、政策立案のプロセスや法制度等への理解がその礎として欠かせないと考えたことから、GraSPPを進学先として選びました。

その道の第一線にいる講師陣のもとであらゆる学問の扉を叩く

北海道の東京大学常呂実習施設での博物館学実習受講時の様子(最左が筆者)

GraSPPではメジャー(主専攻)とマイナー(副専攻)を自身で定義し、それぞれを探求することに注力しています。まずメジャーとしては、博物館など文化施設に関わる政策や法制度について研究を行っています。具体的には独立行政法人通則法などが対象で、昨年提出したレポートはGraSPPホームページの「学生の教育研究成果」に掲載されていますので、もしご感心があれば是非ご覧ください。またこれは卒業要件とは関係がありませんが、博物館等における実務や理論を把握するため、学芸員資格取得に必要な科目すべての履修を進めています。

一方のマイナーとしては、デジタルが行政に与える影響や公共政策における対応について研究しています。最近では「スーパーシティ」や「デジタル田園都市国家」といった構想が政府から打ち出されているように、デジタルは公共政策における最重要テーマのひとつになっています。また、私は主に自治体をお客様に業務を行っているため、単に今日のデジタルに関する動向を追うだけではなく、学術的な背景も含め法制度の変遷なども研究することは、コンサルタントとしての強みにも繋がっていると実感しています。

北海道の東大常呂実習施設での博物館学実習受講時の様子2(左から2番目が筆者)

その上で印象的な授業としては、まず「現代行政Ⅰ」(増田寛也先生)が挙げられます。総務大臣などを歴任した経験や現職での知見から地方創生などのテーマを論じることを通じて、行政における各種課題や政府や自治体の実務に対する解像度を高めることが出来ました。上述したレポートも本授業で執筆したものになります。次に「事例研究(科学技術と政治・行政Ⅰ)」(城山英明先生)が挙げられます。これは科学技術の研究開発や社会への実装、イノベーションの促進におけるメカニズムや理論を扱う授業で、私はデジタル化に伴う個人情報保護に関する法制度をテーマにレポートを執筆しました。そのほか、ここに挙げていない政治・経済・法律いずれの科目でも、その道の第一線にいる講師陣が担当していることは、GraSPPならではの魅力だと考えています。

加えて、東京大学は総合大学であるため、意欲があればあらゆる学問の扉を叩くことが出来ます。新型コロナウイルスの影響で授業のほとんどはオンラインでの開催となり、大学キャンパスに踏み入れる機会や学友との交流が少なかったこと自体はやはり残念でしたが、オンライン講義という環境をポジティブに捉えて勉学に励むことにしました。いつどこで勤務をしていても授業に参加出来ることは、履修選択の幅をかなり広げてくれたと感じますし、もちろん仕事と学問の両立は容易ではありませんが、入学前に想定していたよりも多くの授業を履修することが出来ています。

社会人として学業で得た知見を以て、日本社会にインパクトを残す人材を目指す

GraSPPには社会人向けの入試制度があるだけではなく、長期履修学生制度という修業年限を延長出来る制度も用意されており、社会人に門戸が開かれた大学院だと言えます。毎年、自治体や民間で様々な職務経験を持った学生が入学し、各々が独自の課題意識を持って勉学に励んでいることから、授業だけではなく学友との交流からも、仕事や学業の探求に繋がる示唆を得られることが数多くあります。

プライベートで訪れた福岡市美術館にて

また、社会人としての経験がGraSPPで得た学びと有機的に結び付く瞬間に出会えることがあります。私がGraSPPの入学願書を送付した時はまだアナリストという職位でしたが、現在はマネジャーという職位になり、仕事の現場で見える景色・視点が広がりました。学業で得た知見がすぐに仕事に活かせることは少ないように思いますが、例えばお客様との何気ない会話の中で昨年受講した科目の内容をふと思い出し、新しい視座が与えられるといった体験や、あるいはその逆の体験を得ることがあります。

私はGraSPPを卒業した後もコンサルタントとして働き続ける予定ですが、いつかは博物館など文化施設の変革というテーマに直接携わる仕事を自ら創出していきたいと考えています。その際にはGraSPP入学時に思い描いていたように、実務家と政策立案者の両方の視点で課題解決に貢献し、日本社会全体にインパクトを残せる人材として尽力したいと考えており、今後もGraSPPで受けた薫陶を糧に研鑽に努めたいと思います。