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東京大学公共政策大学院 | GraSPP / Graduate School of Public Policy | The university of Tokyo

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GraSPPの経験を活かした国際機関でのキャリア形成について

赤尾邦和 (from Japan) 2013年3月修了

私は国際公共政策コースを20133月に修了後、国際協力機構(JICA)勤務を経て、2016年から移民支援を目的とする国連関連機関のひとつである国際移住機関(International Organization for Migration: IOM)に勤務しています。私のキャリアの概略をお伝えし、GraSPPでの学びが、いかにして私のキャリア形成に活かされたかをお伝えします。

GraSPPに所属する以前は、20063月に学部を卒業後、日本国内で5年間、ICTコンサルタントとして働きました。当時から、将来は国際機関で仕事をしたいという気持ちがあり、必要とされるプロジェクトマネジメントのノウハウを理解・習得できればという思いから仕事を選びました。しかし、国際機関でのキャリア形成には、修士号と数年間の類似業務の経験が必要であることを知り、20代のうちに少しずつ要件を詰めていかなければと感じたため、ICTコンサルタントの職を辞し、2011年にGraSPPの門を叩くことにしました。

GraSPPでは、公共セクターの実務家による授業が多く開講されており、入学以前には朧げにしか理解していなかった公共セクターの仕事の考え方に触れることができ、とても新鮮に感じました。特に印象に残っている授業の一つは、外務省から派遣された松浦博司先生による「国際連合安全保障理事会ゼミ」です。この少人数授業は、国連日本政府代表部に勤務されていた松浦先生のご経験を元に、世界の紛争(当時は、イランにおける核査察、スーダンのダルフールにおけるPKO派遣など)に対応した安全保障理事会での議論をフォローし、決議文を読み解き、どういう文脈で何を根拠に決議されたのか、理事国の立場や判断を考察するというものでした。国際紛争解決には以前から関心はあったものの国連安保理決議文を読んだことはなく、私自身の取り組みの甘さを痛感しました。国連総会や安保理での議論を丁寧にフォローし、決議文の内容を確認する習慣は、その後、スーダンやシエラレオネに赴任してからも大いに役立っています。

新領域創成科学研究科との合同授業であった佐藤仁先生の「開発研究」も、現在の仕事に直結しています。この授業では、いわゆる国際開発にとどまらず、そもそも社会開発するとはどういうことか、という根本に立ち返って、多くの文献を批判的に読み込みました。国際開発というのは「良いこと」という思い込みがあった私にとって、外部者が開発をする怖さと難しさを学べたことは貴重な経験です。

こうした経験をへて、私は民間のICTコンサルタントから、現在の国際機関スタッフへとキャリアシフトしました。民間企業と国際機関の業務には重なるところもありますが、国際機関は同業種経験者の採用を優先することが多く、民間企業に勤務しながら国際機関の空きポストに応募して採用に至ることは容易ではありません。私も、民間企業時代に何度か応募しましたが採用には繋がりませんでした。私の場合、GraSPP時代に夏季インターンシップの機会を得て、内閣府PKO事務局でインターンの経験を積むことができ、さらに外務省でPKOを主管する国際平和協力室への短期採用が実現し、当時日本から自衛隊が派遣されていた南スーダン担当としてJICAアフリカ部に採用されることとなりました。JICAでは、人生初の海外赴任として、それまでの業務実績を活かすことができるスーダン事務所での仕事に携わり、これが現在のIOMシエラレオネ事務所勤務へと繋がりました。私の国際機関勤務が実現するに至った大きな転機はGraSPPで学んだ2年間であると確信しています。

現在のGraSPPは、在校生の50%超が世界中からの留学生であり、国際色豊かな環境だと聞いています。留学生のなかには、母国で重要な仕事についている職業人も多く、例えば私がチューターとしてサポートした留学生は、ガーナの中央銀行から派遣されてきた人でした。留学生と机を並べて切磋琢磨できる環境は、私のように国際開発に関心をもつ者にとって、とても貴重なものでした。国際協力や外交の分野で働くことを希望する皆さんには、ぜひGraSPPで将来への転機となる経験を積み、夢を実現して欲しいと思います。国際機関で活躍している東大出身者には、駒場の総合文化研究科「人間の安全保障プログラム」や柏の葉キャンパスにある新領域創成科学研究科の修了生が多いのですが、これからはGraSPPアルムナイからも仲間が増えることを期待しています。一緒に頑張りましょう!