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東京大学公共政策大学院 | GraSPP / Graduate School of Public Policy | The university of Tokyo

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政治・行政や医療への関心が「自分にしかできない議論」を立てるための第一歩

金貝 講師 (from China) 講師

私は「現代中国の政治・行政」と「医療政策」という2つのテーマを研究の柱としています。

現代中国の政治・行政の研究を始めたきっかけは、出身国である中国の大学で行政学を専攻し、卒業後に日本の政治や行政を学ぶなかで、それぞれの違いから「自国のことをもっと理解したい」と思うようになったからです。一方で、中国では、2000年代半ばに医療費が家計を圧迫し、多くの人々が適切な医療サービスを受けられない問題が世論の焦点になりました。中国は経済的に豊かになったのにも関わらず、なぜ医療へのアクセスが困難になってしまったのか。そのことを深く知りたいと思い、医療政策の研究を始めました。医療政策を考えるうえで、政治・行政の知識は欠かせないことから、私のなかでこの2つの研究テーマは切っても切れない関係となっています。

私がGraSPPで担当しているのは、「現代中国の政策とガバナンス」と「医療政策とガバナンス」という2つの授業です。どちらも、いくつかのトピックを選択し、議論しながら学生に理解を深めてもらうのを目標とします。前者は1949年以降の中国の政治、行政、経済や社会の課題を扱っていますが、学生自身に関心のあるトピックに取り組んでもらうようにしています。後者では、医療政策の決定プロセスにおける主要なアクターの役割と相互作用を理解したうえで、医療システムの基本的な構造や政策オプションなどについて議論してもらい、「どうすれば医療システムは改善するのか」「何をすれば人々の健康は向上するのか」を考えてもらいます。

 

これらの授業を受ける際に、深い知識をあらかじめ身につけておく必要はありません。むしろ重要なのは、学生が中国の政策課題、医療政策について一定の関心を持っていることです。授業を通して、「過去に何が起きて現在はどのような課題があるのか」「現実の世界を説明する概念や理論にはどんなものがあり、それらの限界はどこにあるのか」を掴み、最終的には自己の関心からオリジナルな議論を立てられるようになってもらいたいと思っています。また、議論の内容をペーパーに短くまとめる能力も重視しています。考えたことを長く書くと、何が言いたいのかが見えにくくなる可能性があります。議論を要約する力は、研究を発表するときだけでなく、公的機関や民間企業で働く際にも役立つスキルです。

 

GraSPPは多様性に溢れ、国際的な視野を身に付ける機会が豊富です。カリキュラムを通して批判的思考力を鍛え、世界各地から集まる学生たちと交流することで視野が広がります。ダブルディグリーやキャンパスアジアなどのプログラムを通して、海外の名門大学へ留学することも可能です。このダイバーシティに満ちた環境は、情報が氾濫する今の時代、それらに流されずに自身の考えを持つ力を養ってくれるでしょう。ぜひGraSPPで自身の関心を大切にしつつ、いろいろなことに挑戦しながら突き進んでいただけたらと思います。

 

教員紹介 | 金貝 講師