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東京大学公共政策大学院 | GraSPP / Graduate School of Public Policy | The university of Tokyo

新入生の皆さんへ 2020年04月01日(水)

院長メッセージ

東京大学公共政策大学院への入学者の皆様へ

東京大学公共政策大学院へのご入学、おめでとうございます。

41日に、本郷キャンパスにおいて、皆さんやご家族とともに、始業式を行えることを楽しみにしていました。しかし、今年度は新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、皆さんの健康を守ることを第一に考え、残念ながら始業式を中止することにしました。しかし、皆さんの入学をお祝いする思いを何らかの形でお伝えしたいと思い、HPに掲載する形ではありますが、皆さんにメッセージをお送りすることにしました。

まず新型コロナウィルスでは国内外で、多くの方が亡くなられています。お亡くなりになられた方々のご家族にご冥福をお祈りします。また療養中のご家族に対しても早期の回復を願ってやみません。

例年であれば、授業が始まる前に、ガイダンスやオリエンテーションを通じて、教員や同級生、先輩たちと顔を合わせて、懇親をする場を設けていましたが、新型コロナウィルス感染拡大という状況の中、それも中止とせざるを得なくなりました。大学の方針に沿って授業も基本的にはオンラインで行われます。我々教員にとっても初めてのことですし、多くの皆さんも当初は戸惑われるかもしれませんが、皆さんが安心して勉学に取り組むことができる環境を整備できるよう、公共政策大学院の教職員が一丸となって皆さんをサポートしたいと思っています。ご心配やご不便をかけることもあるかもしれませんが、このような逆境の中でもしっかりと学事が進められるよう、ともに困難を乗り越えていければと思います。

困難を乗り越えた先に、ここで学び始める皆さんに、本学公共政策大学院は様々な飛躍の機会を用意しています。こうした機会を通じて、公共政策大学院が皆さんに身に付けて頂きたい能力が3つあります。

1つが、国際的視野です。国内・国際動向の不確実性が高まるなか、すべての政策について、その国際的なインパクトを考える必要があります。そのため、異なる文化や社会を複眼的に捉え、理解する力が不可欠となっています。それは、通念となったステレオタイプの文化把握を越えていく能力でもあります。公共政策大学院では、英語による科目を多くそろえて、将来の世界のリーダーと机をならべて学習する環境も提供しています。

2つ目は、コミュニケーション能力です。政策の形成と実現のためには、関係者との間で協議し、合意を調達し、様々な要求を取り入れるとともに、政策の方針に対する支持を調達する作業が必要です。これらは、他者へ自分の構想を説得的に伝えるとともに、他者の意見に耳を傾け、それを理解していくという高いコミュニケーション能力に裏付けられていなければなりません。この他者は、国内に限定されません。グローバル化社会では、英語を使って議論し交渉する能力も必要不可欠です。公共政策大学院では、双方向的な英語授業を通じて高いコミュニケーション能力を養うことができます。

最後に3つ目が、政策を分析・解析する能力です。政策の立案・評価をエビデンスに基づいて科学的に立案・評価すると共に、必要ならばエビデンスを創出する必要があります。こうした能力を培うためには、政治学・行政学・経済学などといった分野の学問の基礎をしっかり身につけ、その基礎を現実が直面する問題に応用する力が求められます。

こうした政策立案に必要な能力を、プロフェッショナルとしての高い倫理観に裏打ちされながら発揮できる人材を養成することが、本大学院の教育目的です。こうした人材は、公共政策のみならず、民間におけるトップ経営人材にもいまや求められる素養でもあります。  現在、このような教育目的を達成するために、100を超える英語で行われている授業を含めて、全体で約250の多様な内容を持つ授業科目を準備しており、各人の目指すキャリアに応じて、適切な教育プログラムを組み立てることを可能にしています。

新型コロナウィルスの影響で、従来とは異なる形での始業となりますが、入学される皆さんには、本学公共政策大学院が提供する上記のリソースを十二分に活用して、人生の夢の実現に向けて大きな飛躍をこの2年間で遂げて頂きたいと思っています。

改めまして、東京大学公共政策大学院へのご入学、おめでとう。   

20204        

東京大学公共政策大学院長 大橋 弘