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東京大学公共政策大学院 | GraSPP / Graduate School of Public Policy | The university of Tokyo

川口大司教授らの論文「ロボットは雇用を増やす」がJournal of Labor Economicsに採択されました 2022年12月06日(火)

教員業績報告 , GraSPP Blog , 研究 , プレスリリース

川口大司教授が足立大輔(オーフス大学経済学部助教授)、齊藤有希子(早稲田大学政治経済学術院准教授)と共著した論文「ロボットは雇用を増やす」がJournal of Labor Economicsに採択されました。

ポイント

日本は世界に先駆けてロボットを生産過程に導入したロボット先進国である。1978年から2017年にかけての40年間の長期にわたる日本のロボット導入と雇用のデータを用いて、ロボット導入が雇用に与える影響を分析した。
ロボットや人工知能といった自動化技術が雇用を奪うという懸念が語られる中、米国においてはロボットの導入が雇用を減らすという研究結果が得られていたが、ロボット先進国である日本においては、むしろ雇用を増やすことが明らかになった。ロボット導入による生産性向上が、生産拡大をもたらしたことが雇用増加につながった。
自動化技術が雇用に与える影響は、主に二つの経路による。一つは自動化技術が人々の労働を代替する代替効果であり、雇用を減らすように作用する。もう一つは自動化技術の導入により生産性が上がり生産費用が下がり生産が拡大する生産性効果であり、雇用を増やすように作用する。代替効果と生産性効果のどちらが大きいかは、製品市場や労働市場といった周辺環境に依存していており、自動化技術が雇用に与える影響はマイナスのこともあれば、プラスのこともある。この研究成果は、生産性効果を大きく発揮し、新技術と労働の共存していくためには、どのような条件が必要かを示唆するものである。

概要

東京大学公共政策大学院の川口大司教授が、デンマーク・オーフス大学の足立大輔助教授ならびに早稲田大学の齊藤有希子准教授とともに、ロボットの導入が雇用を増やすことを明らかにしました。
ロボットの導入が、労働を代替する一方で、生産コストを下げることで製品需要を拡大させ、それが雇用に波及するという経路を理論化し、ロボット導入のデータと政府統計を組み合わせて実証研究をしました。分析結果は、ロボットの導入が、自動車などの製品価格を低下させ、製品需要を増加させ、付随的に雇用を拡大させたことを示しています。
ロボットや人工知能といった自動化技術が雇用を減らすことが心配されていますが、日本の経験は、適切な環境の下で新技術を導入すれば、雇用を増やし、生産性と賃金を向上させることができることを示しており、新技術と人間の共存のために重要な視点を提起しています。
本研究成果はJournal of Labor Economics誌のオンライン版に発表されます。本研究は科学技術振興機構(課題番号JPMJRX18H3)ならびに経済産業研究所の支援により実施されました。

 

詳細内容は以下リンクをご確認ください。

GraSPP Blog | ロボットは雇用を増やす

論文へのリンク:

https://www.journals.uchicago.edu/doi/10.1086/723205

 

問い合わせ先:

東京大学公共政策大学院
教授 川口大司
03-5841-5508 kawaguchi(at)e.u-tokyo.ac.jp