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東京大学公共政策大学院 | GraSPP / Graduate School of Public Policy | The university of Tokyo

川口大司教授、渡辺安虎教授らの論文「AIが生産性に与える影響を、タクシー乗務員のミクロデータで実証」がNBER Working Paper Seriesに掲載されました 2022年11月02日(水)

教員業績報告 , 研究

川口大司教授、渡辺安虎教授が重岡仁氏(サイモンフレーザー大学経済学部 准教授)、金澤匡剛氏(東京大学政策評価研究教育センター 招聘研究員)と共著した論文「AIが生産性に与える影響を、タクシー乗務員のミクロデータで実証」がNBER Working Paper Seriesに掲載されました。

ポイント
  • 「AIの生産性に与える影響が労働者のスキルによりどう異なるか」をタクシー乗務員の詳細な乗務データを用いて実証した。
  • タクシー乗務員向けの需要予測AIは、乗務員の平均的な生産性を向上させるものの、その効果は低スキルの乗務員に集中していることを示した。
  • ITやロボットといった従来の技術は低スキル労働者の仕事を奪い、所得格差の拡大をもたらしていたが、AIという新技術は逆に格差を減少させうることを示した。
概要

東京大学公共政策大学院の川口大司教授、渡辺安虎教授らは、サイモンフレーザー大学の重岡仁准教授と共同で、AIが生産性に与える影響が、労働者のスキルによりどう異なるかを、タクシー乗務員の詳細な乗務データを用いて実証した。
AIが労働に与える影響について、従来の研究では、どのような職業が特にAIの影響を受けやすいかという観点から議論されてきた。しかし、AIが労働に及ぼす影響は複雑であり、同一の職業に就く労働者の中でも影響が異なる可能性が考えられる。したがって、個々の労働者レベルの詳細なミクロデータを用いてAIが労働者の生産性に及ぼす影響を分析することが待たれていた。そこで、本研究ではタクシー乗務員の詳細な乗務データを用いて、需要予測AIがタクシー乗務員の生産性に及ぼす影響と、それが乗務員のスキルレベルにより、どのように異なるかを分析した。
分析の結果、需要予測AIの活用により、高スキル乗務員の生産性向上には有意な影響が見られない一方で、低スキル乗務員の生産性を7%ほど改善することを発見した。ITやロボットといった従来の技術は高スキル労働者の生産性をより高め所得格差の拡大をもたらしていたが、AIという新技術は逆に格差を減少させる可能性があることをこの研究は示しており、AIが今後の経済に与える影響を考える上で、重要な発見といえる。

詳細内容は以下リンクをご確認ください。

GraSPP Blog:AIが生産性に与える影響を、タクシー乗務員のミクロデータで実証

論文へのリンク:

https://www.nber.org/papers/w30612

問い合わせ先:

東京大学公共政策大学院
教授 川口大司
03-5841-5508 kawaguchi(at)e.u-tokyo.ac.jp