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東京大学公共政策大学院 | GraSPP / Graduate School of Public Policy | The university of Tokyo

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日中韓ユース・サミット(Trilateral Youth Summit)2023 参加報告2023年10月11日(水)

8/13~22の10日間、日中韓三国協力事務局(TCS:Trilateral Cooperation Secretariat)の主催で行われた日中韓ユース・サミット(TYS:Trilateral Youth Summit)2023に参加しました。簡単に、サミットの概要と活動内容などについてご紹介しようと思います。

サミットの概要

TYS2023には、日中韓それぞれから大学生・大学院生が各33-34名、合計100名が参加し、共に中国の北京及び成都を訪問しました。10日間の合宿型プログラムを通じて、ユースの役割が期待される課題(教育、文化観光、スポーツ、保健)について各国の学生と議論を深めたほか、関連機関の視察や文化体験の機会もありました。各国の学生は、はじめに日本・中国・韓国・TCSの4つの使節団に分類され、その上で教育、文化観光、スポーツ、保健のいずれかの分科会に所属しました。分科会では、それぞれの使節団の立場を代表しながら、模擬日中韓サミットで採択する共同声明の文案を作成しました。

分科会での活動

私は日本使節団に割り当てられ、教育分科会に所属することになりました。各分科会ではそれぞれ議長国が指定されており、教育分科会は日本が議長国でしたので、教育分科会の日本使節団長を務めていた私がそのまま教育分科会長を務めることになりました。分科会では、はじめに各使節団が共同声明に盛り込みたい内容についてプレゼンを行い、その後、議論を重ねながら共同声明を取りまとめていきました。教育分科会として、共同声明に盛り込んだ内容の要点は以下のとおりです。

・CAMPUS Asia Programの更なる充実(参加大学、専攻分野の拡大等)
・中高生向けの日中韓国際交流プログラム(TEEN Asia Program)の創設(ホームステイ体験、夏季/冬季短期留学等)
・気候変動問題に焦点を当てた環境教育プログラム(CLIMATE Asia Program)の創設
・対話を通じた相互理解を促す歴史教育プログラム(PEACE Asia Program)の創設

特に4点目ついては、プログラムの内容を巡って議論が交わされましたが、対話を通じて各国の視点を学ぶことは東アジアの平和構築のために重要であるという認識の下、共同声明に盛り込まれることになりました。模擬日中韓サミット当日には、共同声明の教育パートについて、分科会長としてプレゼンテーションを行いました。

文化体験その他

TYSでは、模擬日中韓サミットに向けた準備以外にもさまざまな活動を行いました。サミットの前半では、各国の外交官によるパネルディスカッションや研究者によるレクチャーを通じて日中韓の国際関係や文化について学びました。4日目には中華人民共和国生態環境部を訪問し、環境問題の解決に向けた国際協力の重要性について理解を深めました。

文化体験としては、北京及び成都の代表的な観光地を訪問しました。北京では、万里の長城に登りました。猛暑日でしたのでとても大変でしたが、仲間に助けられながらなんとか長城までたどり着いた経験は忘れられない思い出となりました。また、北京ダック発祥のお店で本場の味を堪能しました。成都でも、様々な観光地を訪れました。成都はパンダの街として知られ、街中のあちこちにパンダのモニュメントやイラストが散りばめられていて、パンダへの惜しみのない愛が感じられました。パンダ基地を訪問した日には、ガラスの仕切りなしに沢山のパンダを見ることができました。とても可愛かったです。他、劉備や諸葛亮などを祀った武侯祠、金沙遺跡博物館、古代中国からの治水施設である都江堰景区などを訪れながら、中国の歴史に対する理解を深めました。成都の所在する四川省は辛い食べ物で有名ですが、本場の火鍋も体験しました。とても辛かったですが美味しかったです。

感想

この参加報告の執筆にあたって、今一度初日からの活動を振り返っていたのですが、写真を見返しながら思わず微笑みがこぼれてしまうほど、日中韓の同世代の若者たちと交流しながら過ごした10日間はかけがえのない日々でした。英語でのディスカッションをリードした経験や、100人を超える聴衆の前で英語でプレゼンをした経験がなかったので、教育分科会長への就任が決まった際は自分に務まるだろうかと不安でいっぱいでしたが、チームメイトの温かいサポートがあって何とかやり遂げることができました。改めて、日本使節団や教育分科会のメンバーにはこの場を通じて感謝を伝えたいです。

TYSへの参加を通じて、人と人が実際に会って、交流することの価値を再認識することができたように思います。日中韓の三か国は、解決の難しい課題を抱えています。しかし、そのような状況にあっても、私たちは相互交流によって国境を越えた友情を育むことができました。どれほど困難な課題を抱えていたとしても、国の場所を動かすことはできません。対話を通じて相手の意見に耳を傾け、必ずしも立場が一致しなくとも、少しでも重なる部分を見つけ、広げていく。そのような丁寧な作業の積み重ねの重要性を、身をもって実感できたように思います。

TYSのOGの一人として、東京大学のキャンパスアジアプログラムの参加者の一人として、そしてこれからの時代を担うユースの一員として、日中韓の三か国が紡いできた協力と交流の歴史をさらに積み重ねていけるよう努力していきたいと思います。

(原理央)